「ドライフラワーは死んだ花」だなんて…一体誰がそんなこと言ったの!?

渋谷ファッション&アート専門学校 公開講座で作るドライフラワー コッペクラフトワークのバックヤード

ドライフラワーは死んだ花だなんて… ちょっと待って! 本当にそう思いますか?

風水では、ドライフラワーは死んだ花とされ、運気を下げるから飾らない方がいい」なんて話、聞いたことがありますか?
たしかに風水の世界では、そう言われることがあるようです。しかし、これはドライフラワーに対する誤解です。実際のところ、ドライフラワーは決して“死んだ花”ではなく、文化的・歴史的に見ても非常に価値のあるものなんです。そんな短絡的な見方をしてしまうのは、ドライフラワーが持つ深い意味と魅力を見逃してしまうことになります。

今日は、ドライフラワーがいかに「生き続ける美」の象徴であるか、そして歴史的にも文化的にも大切にされてきた存在であるかを、少し掘り下げてお話ししたいと思います。


1. ドライフフラワーはヨーロッパでは「永遠の美」の象徴

まず、ヨーロッパの歴史を振り返ってみましょう。ヨーロッパでは、特に中世以降、ドライフラワーは貴族や上流階級の間で広く愛され、装飾として多く使われてきました。生の花はすぐに枯れてしまうため、その儚さが美しいとされることもありますが、ドライフラワーには一味違った魅力があります。それは「永遠の美」を象徴している点です。生花が持つ一時的な美しさとは対照的に、ドライフラワーは保存が効き、長くその美しさを楽しむことができるため、ヨーロッパの人々にとって非常に価値のある装飾花とされてきました。

例えば、ヴィクトリア朝時代のイギリスでは、ドライフラワーがフラワーアレンジメントの一部として非常に重宝されました。ヴィクトリア朝の文化では、花を使った装飾が大変人気であり、フレッシュな花だけでなく、ドライフラワーもアート作品の一環として扱われていたのです。これにより、ドライフラワーは単なる枯れた花というよりも、手間暇かけて美しさを保つための技術や芸術の一部として広く認識されていました。

さらに、ヨーロッパではクリスマスリースにドライフラワーが使用されることも多く、特に冬の寒い時期には、生の花を飾ることが難しいため、ドライフラワーが代替品として重宝されていました。これにより、クリスマスリースが一定の期間選ばれる花材として評価されるようになりました。これは言うまでもなく、ドライフラワーリースは季節を問わず美しい状態を保つため、インテリアとして一年中楽しむこともできます。

つまり、ドライフラワーはヨーロッパの文化において、時代を超えて受け継がれてきた「永遠の美」を象徴する存在であり、決して「死んだ花」ではありません。むしろ、時間が経ってもなお美しさを保ち続けるその姿こそ、私たちが見習うべき「永遠性」を持つ花なのです。


2. 古代エジプトではドライフラワーは「永遠の命」の象徴

次に、少し時間を遡って古代エジプトを見てみましょう。エジプト文明は、人類の歴史の中でも非常に長く続いた偉大な文明の一つですが、ここでもドライフラワーは重要な役割を果たしていました。

古代エジプトでは、ドライフラワーは宗教的、儀式的な目的で使用されていました。特に、墓に供えられる花々は、永遠の命や死後の世界での美を象徴していたのです。エジプト人は、死後の世界を非常に重視しており、そのために花や植物を乾燥させ、長持ちさせる技術を発展させました。エジプトのピラミッドや墓から発見されたドライフラワーや植物の遺物は、何千年も前にその価値が認識されていた証拠です。

エジプトの墓に残されたドライフラワーは、単なる飾りではなく、死者への敬意を示す重要な象徴でした。花は新たな命や再生の象徴であり、それを乾燥させることで永続的な美と命の象徴として扱われました。このように、エジプト文明においてもドライフラワーは「永遠の命」を象徴し、宗教的にも高い価値を持っていたのです。


3. 日本でも大切にされてきた「枯れ」の美学

さらに、私たちの身近な文化である日本にも、ドライフラワーの歴史が深く根付いています。

特に江戸時代には、植物を乾燥させて保存する技術が発展し、観賞用としてだけでなく、薬草や香りとしても利用されていました。

日本には、植物や花が枯れてもその美しさを愛でる「枯れ」の美学が存在します。(ドライフラワーは枯れた花ではないのですが…)これは、華道や茶道などの伝統文化にも深く関わっており、自然の一部としての植物が、枯れてもなおその形や色を楽しむという感性に基づいています。華道の一部として、枯れた植物や木々を取り入れることで、自然の一時的な美しさだけでなく、その移ろいをも愛でる心が育まれてきました。

この「枯れ」の美学は、ドライフラワーにも通じるものであり、植物が生きているときだけでなく、枯れた後もその姿を楽しむことができるという考え方が根付いているのです。江戸時代の人々は、ドライフラワーを日常の中で取り入れ、その保存性と美しさを楽しんでいたのです。


Yahoo知恵袋で見た「ドライフラワーを玄関に飾るのはよくないの?」という質問

さて、ここまでお話ししてきた通り、ドライフラワーは決して「死んだ花」や「枯れた花」ではありません。それどころか、ヨーロッパでは「永遠の美」、エジプトでは「永遠の命」を象徴する非常に価値のある存在です。

ドライフラワーは、ドライに加工後も美しさを保ち続ける、歴史や文化が育んできた「生き続ける美」の結晶です。その魅力は、単なる装飾品以上のものであり、私たちの生活に持続可能な美を提供し続けてくれます。風水の一部で言われるような「運気を下げる」という固定観念に縛られるのは、あまりにももったいないことです。

玄関にドライフラワーのリースを飾るのは良くないの? 

Yahoo知恵袋で「ドライフラワーを玄関に飾るのはよくないの?」という質問がありました。ドライフラワーが「死んだ花」とされ、風水的にあまり良くないと感じる方もいらっしゃるようです。特に、玄関の外側にドライフラワーでできたリースを飾るのが悪いのではと不安になってしまったという内容でしたが、いくつかの回答を見てみると、そんなに心配する必要はないことがわかります。


1. 枯れた花が良くないのは鉢植えの話

ある回答者は、ドライフラワーに対する誤解を解消するためにこう説明しています。「枯れた花が良くないっていうのは、生きている植物の鉢植えに限った話です。生きている植物の枯れた花や葉を放置すると、病気になったり虫がついたりしてしまうことがあるため、そのままにしておくのが良くないという意味です。」

ドライフラワーは、すでに自然な過程で乾燥された花なので、病気や害虫のリスクがなく、衛生面でも問題はありません。つまり、鉢植えの枯れた花と混同する必要はないということです。


2. 迷信にすぎないという見方

別の回答では、ユーモアを交えながら「カメラが日本に入ってきた時代に『写真を撮られると魂を抜かれる』と言われていたことと同じレベルの話です。そんなもの信じなくて大丈夫ですよ!」と述べています。

これは、昔から存在する迷信や誤解が現代にも残っている例として、ドライフラワーに対する偏見を軽く笑い飛ばすような回答です。ドライフラワーが風水的に悪いとされるのは、古い固定観念に基づいたものであり、必ずしも現代の生活に適用されるわけではありません。


3. 実際に問題がなければ心配無用

また、「今までずっと飾っていて、悪いことが起きていないなら、それが答えです」との回答もありました。つまり、過去に何も悪いことが起こらなかったのなら、それが証拠であり、何も心配する必要はないという考え方です。実際に、ドライフラワーを飾ることでネガティブな影響を感じたことがないのであれば、そのまま楽しむことができるでしょう。


まとめ

ドライフラワーを玄関に飾ることに対して不安を感じてしまうのは、古い風水の固定観念によるものが大きいです。しかし、現実的にはドライフラワーは病気や虫のリスクもなく、とくに最近ではおしゃれな装飾として多くの人に愛されています。東京都内のおしゃれなカフェや雑貨店にインテリアアイテムとして必ずドライフラワーは使われています。
ですから、自宅の玄関の外側に飾るリースも、実際に今まで何の問題もなかったのなら、特に心配する必要はありません。ドライフラワーは「永遠の美」を象徴し、季節を問わず玄関を彩る素晴らしいインテリアアイテムです。

この投稿をしようと思ったのは、ドライフフラワーが好きで作品を作っている当事者として、運気が下がるとか死んでいるなどと言われることが不本意でたまらないのです。風水を否定しませんが、自分が愛するものがそのように思われているのは耐え難いのです。ですから、その噂を払拭するためにもなんとしてもドライフラワーの素晴らしや魅力を伝えていきたいです。

これからも、安心してドライフラワーを楽しんでくださいね!

次のブログではドライフラワー加工について書いてみます。枯れたとか死んだとか、無神経に書かれていますが、生花からドライフラワー加工にする過程を学べば、ドライフラワーは生きている花ということがわります。

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